山之村の伝統食、「寒干し大根」を紹介します!

 

まずは自己紹介

私は2016年に群馬県から飛騨市神岡町山之村に移住してきました。山之村ではわらび粉や栃の実を生産しつつ、農家さんの手伝いや冬季は除雪など、様々な仕事をしながら暮らしています。B級映画とゲームが大好きで、大音量でも怒られない(というか隣家が遠すぎてバレない)生活がとても気に入っています。読書感想文など文章を書くのは苦手でしたが、山之村での暮らしを伝えていきたいと思います。

山之村は標高約1000m、人口は約140名、冬は2m近い積雪もある、まさに山の中にある村です。今回は、山之村の名産品である寒干し大根について、自分の実体験を交えて紹介したいと思います。

 

「寒干し(かんぼし)大根」って、何?

「寒干し大根」とは、山之村地域で古くから作り続けられている干し大根の一種です。豪雪地帯でもある山之村の冬は、気温がマイナス20度まで下がります。

そんな気候を利用して作られているのが寒干し大根です。

いつから作られているのか?定かではではありませんが、かなり歴史があると聞いています。ただ、冬の保存食として作られていた寒干し大根を、特産品として生産するようになったのは昭和61年に「すずしろグループ」が設立されてからです。

すずしろグループは、山之村の「かかさ」(お母さん)たちで運営されていて、寒干し大根の生産はもとより、食べ方の普及や宣伝など、様々な活動をされています。

 

すずしろグループについてはこちら 

https://kanboshi-daikon.com/about/#about

 

マイナス20度の寒風と太陽が作り出した寒干し大根

まず、寒干し大根の作り方を紹介します。秋に収穫した大根をすぐに畑に埋め、真冬に掘出します。※山之村では埋めることを「いける」と言います

 マイナス20℃の寒気にさらされた大根は凍り、日中の日差しで解け、また凍る…この繰り返しにより水分がぬけ、甘さが凝縮されます。瑞々しい白い大根がカラカラの琥珀色になれば完成です!

 寒干し大根の出荷量はその年の大根の生産量によって変動しますが、例年平均500kg程作っています。

実際の作業ってどんな感じ?

私は山之村に移住して以降、毎年寒干し大根づくりを手伝っています。

雪をかき分け土の中から大根を掘ってくる作業はなかなかに重労働です。しかも、外の気温はマイナス!防寒対策は欠かせません。また、大根を干すときは、高いところでの作業もあります。地道ですが緊張感もあり、きれいに干した大根をみると達成感を得ることができます。

 寒干し大根づくりの進み具合は、大根の大きさによって変わります。大根が大きいと皮むきや串に刺す作業がよく進みます。逆に大根が小ぶりだとなかなか進みません。

 そんな中でも生産者さんやパートの方々と会話やお茶をしながら楽しくやっています。移住当初このような作業中の会話から山之村での暮らしを学ばせて頂きました!

寒干し大根の食べ方は?

寒干し大根は乾燥状態で販売されているので当然ながらそのままでは食べられません。一度お湯やぬるま湯で戻す必要があります。

 〇基本の戻し方

  1. さっと洗う
  2. お湯、もしくはぬるま湯に浸す(10分~20分)

※あまり浸しすぎると特有の食感が失われてしまうので注意!

  1. 柔らかくなった大根をお好みの味付けで煮込む(浸したお湯を使うとより風味が際立ちます)

 煮物はもちろん、すき焼きやサラダ、炒め物、ギョウザ、グラタン等様々な料理に使えます!皆さんのお好みに合わせていろいろと試してみてはいかがでしょう?

 

さいごに

山之村の伝統的な保存食、寒干し大根を紹介させて頂きました。山之村の豊かで厳しい自然が生み、たくましい村人たちの手で受け継いできた寒干し大根。生産者も最盛期に比べると減少傾向にありますが、その製法、精神は次世代にしっかり受け継がれています。

今後もこの先人の知恵と天の恵みの結晶を作り続けていくことでしょう。

 

「奥飛騨山之村寒干し大根」は飛騨市内のお店や山之村牧場で販売されている他、すずしろグループのホームページからもお求めいただけます。

気になった方はぜひ!

前原 融
前原 融

群馬県生まれで、飛騨市の山之村に移住して8年目。 わらび粉や栃の実を生産しつつ、農作業の手伝いや除雪など色々やりながら暮らしています。 趣味はゲームや読書、映画など、山に住むインドア派。 山之村の人や取り組みなどを記事にして発信していきたいと思っています。

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