飛騨高山で木工を学ぶ理由とは

 

自己紹介

 

新人ライターのカトウです。

千葉県の田園風景が広がる片田舎で生まれ育ち、子どもの頃から手先は器用だったようで、折り紙や工作をして遊ぶことの多い幼少期を過ごしました。 

社会人の頃、趣味で始めた創作活動に夢中になり、より知識を深めるべく美術大学に入学しデザインの勉強をしていました。

その過程で、木材を用いたものづくりを本格的に学びたいと思い、休学して2023年4月に岐阜県立木工芸術スクール(以下、木芸)にて1年間の集中訓練に臨みました。

今回は、ものづくりという点から高山への移住を決めた理由をお伝えしたいと思います。

 

 

木工芸術スクールについて

木芸には、家具メーカーや宮大工の経験を持つ常勤講師が4名いらっしゃいます。

また、伝統工芸である飛騨春慶塗りや曲げ木の職人として40年以上活躍してきた方も非常勤講師をしています。

飛騨高山は日本の6大家具産地の一つとして知られ、古くから受け継がれる伝統技術やノウハウがあり、木芸ではそれらの技術を多面的に学ぶことができます。

さらに、伝統的な技術だけでなく、NCルーターのような新しい機器を使った加工方法や、作品の魅力をうまく伝えるプレゼンテーションの方法など時代に合わせた指導も受けることができます。

 

 

 

なぜ高山を選んだのか

 

数ある木工を学べる学校からなぜ高山を選んだのかというと、大学生の頃に環境教育に興味があり、日本電気株式会社が取り組んでいるCSR活動に申し込み高山を訪れたのがきっかけです。

受け入れ先であるオークヴィレッジでは森に入り、自分達の力で樹を切り、切った樹から箸を作るというワークショップを行い、森と人のつながりを体験的に学ぶことができる講座を受けました。

このような経験もあり森や木工といったら高山というような意識が植え付けられ、風土も自分の肌に合うと感じ高山を選びました。

入校してみると、木芸には独立を視野に入れた生徒も多く、将来どのような経営をしていきたいのかなどの構想(妄想)を話すことで自分の将来像のイメージを固める意味でも刺激をもらえます。修了生は飛騨高山地域の木材加工業、家具メーカー、工房、レンタル工房など木工関連に就職した方や独立した方も多く、修了生を通して欲しい情報を手に入れやすい環境があるというのも魅力のひとつです。

 

 

 

 

高山での暮らし

 

高山に住みはじめる前から住民の方によるアドバイスがあり「高山の1年の半分は冬だと思ってた方がいいよ」の言葉のとおり、温暖な千葉で生まれ育った私には、厳しい寒さにさらされた1年でした。

寒さのピーク時に校舎にできた1mを超える氷柱や3月になっても毎日のように降り続く雪など…。

小学生を最後にできた記憶のない霜焼けが耳や足先にできました。

白い息を吐きながら制作する日々の辛さが伝わると思います。

 

 

しかし、冬の厳しさ反面、夏は涼しく一番暑い時でも朝晩は半袖では肌寒いくらいでとても過ごしやすく高山での生活の魅力のひとつです。

また高山の市街地にはカフェがとても多く、今も全店回るべく活動中です。

モーニング文化があるので朝早くからオープンしているお店も多くあり、手頃な価格帯でモーニングにありつけるのはありがたいです。

木芸で得た大きな経験としては”つくりながら考え、考えながらつくる”ということです。

人によって考え方が分かれるところだと思いますが、必ずしも計画を順序立ててからつくり始めるのではなく、手を動かしながら考えれば良いということです。

先生から教えていただいたこのやり方が私にはしっくりときました。

家具制作をしていて、木材を図面通りに加工できてもいざ組み立てみるとイメージと違うと思うことやミスをして実物の寸法が変わり、図面通りには加工できないことは多々ありました。

その時にイメージに実物を近づけていくのか、違いを活かして形を変えていくのかなど、その時々で判断を求められます。

その時に”つくりながら考える”というマインドを持っていれば柔軟に対応していけると感じました。

木材というひとつとして同じ物はない有機物の素材と向き合うときに大切な考え方であり、これからの生き方を考えるうえでも大きな学びとなりました。

自分なりに、高山で木工にチャレンジするメリットや、高山での1年間の生活から得たものをご紹介しました。ぜひ、飛騨でのものづくりに関心がある方に役立てばうれしいです。

 

カトウヒデユキ
カトウヒデユキ

2023年4月から高山市を拠点に暮らしています。木材を利用したモノ・コトづくりを日々模索中。 写真とオノマトペを使って遊びながら地域の魅力が見つかる新感覚ボードゲーム「フォトマトペ高山」を制作しました。高山のお気に入りスポットがあれば教えてくださいね。

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