「地図に無い村『山之村』の取り組み 山之村小中学校の子どもたちの挑戦」

はじめまして。飛騨市神岡町山之村に移住して7年、群馬県生まれの新米ライターの前原です。

山之村ではわらび粉や栃の実を生産しつつ、農家さんの手伝いや冬季は除雪など、様々な仕事をしながら暮らしています。

 B級映画とゲームが大好きで、大音量でも怒られない(というか遠すぎてバレない)生活がとても気に入っています。

読書感想文など文章書くのは苦手でしたが、山之村での暮らしを伝えていきたいと思い、初めて記事を書かせて頂きました!

今回は、地元の小中学生がはじめたある活動についてご紹介します。


 

はじめに「山之村」って、どんなところ?

 

実は「山之村」というのは正式な地名ではなく、飛騨市神岡町の中心部から車で約30分離れたところにある7つの集落(伊西、森茂、下之本、岩井谷、瀬戸、打保、和佐府)の総称です。

このことから、「地図にない村」と呼ばれることもあります。

標高は約1000m、人口は約140名、冬は2m近い積雪もある、まさに山の中にある村といった地域です。

 

山之村の子どもたち、考える

 

山之村では、全国的な例に漏れず少子高齢化が進んでいます。

現在、地域唯一の山之村小中学校には児童生徒合わせて15名が通っていますが、令和3年度には山之村保育園の入園者が0名、令和4年度は小学校の入学者が0名でした。

子どもたちは「このままいくと、自分たちの学校がなくなってしまうかも…」という現実に危機感を持ち、「学校を残していくことはできないか?自分たちにできることはないか?」と考え始めたのです。

ぜんまい取り(授業の様子)

 

 

「山っこ学習」の経験を活かして

 

子どもたちは授業の総合学習の時間、「山っこ学習」で、地域の歴史や特産品を調べたり、地域の方に山之村への思いをインタビューしたりしました。

調査していくうちに、学校の存続は、実は地域の方たちの願いでもあることにも気付きます。

そして、子供たちは「子育て家庭の移住者が一家庭でも来てくれたら学校は存続できるんじゃないか」と考えるようになります。

かくして子どもたちは山之村の良さをPRし、移住者を呼び込むための活動を開始します。

  

販売会開催!

 

まず、子どもたちは「山之村のおいしい特産品をもっと知ってもらいたい!」との思いからそのために何ができるかを考えます。

やはり少しでも多くの人に特産品を手に取ってもらい、味わってもらうしかない。

そこで以前、修学旅行先の石川県七尾市で、寒干し大根を販売した経験を思い出し、飛騨地域でも販売会をやろう!と思い立ったのです。

1年目(令和3年度)には飛騨市役所での販売会を行いました。

地域の方に品物を相談したり、なんと飛騨市長にオンラインで相談をしたり、大人たちもびっくりの行動力で、大盛況のうちに終了しました。

2年目(令和4年度)は前年度の経験に奢らず、地域の方との意見交換会を開き、改善点を見つけます。

「山之村のロゴマークやキャラクターを作ってシールにしてはどうか」という意見から地元の企業やデザイナーさんに協力して頂き、ロゴマークを作りました。

また、もっと他地域の方にも知ってもらいたいとの思いから、会場を飛騨市古川町(お隣の町)の「産直市そやな」に会場を変更し開催しました。

また、移住者向けのパンフレットを子供たちで作成し、PRも行いました。

地域の協力者は生産者だけでなく、ボランティアとして販売会の手伝いに参加してくれる方も増えてきて、販売会は子どもたち15名、地域の大人27名、教職員14名の計56名で無事に開催することができました。

 

  

次のステップへ

 

2回の販売会を終えた子供たち。

地域の大人たちと協力できたことは満足でしたが、ある疑問を感じ始めます。

「このまま、よそで販売会をするだけで移住者って増えるのだろうか?」

子どもたちの目的は移住者を呼ぶことで、確かにそのPRにはなります。

しかし、販売会に来る人は大半が地元の人であり、山之村の事を既に知っている人がほとんどです。

本当に伝えたい相手は移住を考えている人や山之村を知らない他地域の人、特に子どもがいる、または家庭を持つか、出産・育児を考えている若い世代なのです。

そのことに気付いた子どもたちは、「村外での販売会だけでは山之村の移住者増加には繋がらない」とまた新たな試みを始めるのです。

 

山っこブランド設立!

 

移住者を呼ぶために、移住者のことをもっと詳しく知りたい!子供たちからそんな声があがり、今年度(令和5年)は総合学習の時間をつかって調べていく計画のようです。

ただ、せっかく2年続けた販売会も決して無駄にはしたくないとの思いから作成・使用したロゴマークは「山っこブランド」のロゴシールとして活用していくことになりました。

この「山っこブランド」は販売会以外でも山之村の知名度を高める方法として発案されたもので、子どもたちにより、以下の認定条件が設定されました。

  • 山之村地域の気候や風土の中で生産されたもの
  • 山之村で暮らしているひとがつくったもの
  • 山之村の子どもたちが「いいね・おいしいね」と認めたもの

特に3番目がいい味を出していると思います(笑)

 

販売会に協力した生産者やボランティアの方たちは、子どもたちの取り組みを自治会の会議の場で取り上げ、今後も子どもたち・学校と協力して取り組んでいく予定です。

 

「自ら考え、行動していく」

 

飛騨市は「移住コンシェルジュ」という移住のアドバイザー(地域の案内や地元との仲介)を設置しています。

子どもたちの取り組みに触発され、そのコンシェルジュになった人達もいます。

かくいう私もその一人で、この4月から活動を開始しました。

山之村では「自ら考え、行動していく」そんな力が大人にも子どもにも育まれてきています。

これからも山之村での暮らしぶりや、子供たちの今後について情報発信していきたいと思っています。

ぜひ一度、山之村に遊びに来てみませんか?

 前原 融
前原 融

群馬県生まれで、飛騨市の山之村に移住して8年目。
わらび粉や栃の実を生産しつつ、農作業の手伝いや除雪など色々やりながら暮らしています。
趣味はゲームや読書、映画など、山に住むインドア派。
山之村の人や取り組みなどを記事にして発信していきたいと思っています。

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