ユネスコ無形文化遺産「春の高山祭」祭行列に参加して

 

アイルランド出身のルークと申します。ワーキングホリデービザを使用し、高山に来て 6か月が経ちました。
今回はご縁がありユネスコ無形文化遺産でもある「春の高山祭」の祭行列に参加させていただきました。
その感動と、これから飛騨地域に暮らしてみようと思うすべての皆さんに飛騨高山の良いところを 伝えさせていただきます!

 

はじめに

私が高山市に来た最初の理由は日本語を上達させることでした。
親密なコミュニティを求めていた私は田舎生活をすることで、日本語をたくさん話して覚えるだろうと思っていました。

高山市での暮らしはアイルランドの私の故郷をよく思い出させます。自然がたくさんあり、街の雰囲気や設備や文化的側面がよく似ているので、ホームシックになることはあまりありません。 休日は街歩きをしたり、宮川沿いをランニングするのが楽しみの一つです。

また、素晴らしい料理を提供する地元のレストランが豊富にあり、ランチやディナーの選択肢には事欠きません。 私はカフェが大好きで、カフェ巡りもしています。特に北山公園の近くにある「いちい」がおすすめです。

そんな高山市での生活も、最初の数か月は友達や話し相手があまりできず、少し寂しい時もありました。けれど、近所にあるバドミントンやバレーボールなどのスポーツクラブに 所属したり、仕事を通じて少しずつ人の輪を広げることが出来ました。
今では、当時は考えられないほどの多くの人に出会い、日本語でのコミュニケーションは少し上達したように感じます。(漢字を書くことはまだ苦手ですが…)

文化、食べ物、自然すべてが理想的な高山市での生活の中で、伝統行事の高山祭に参加できるという貴重な体験をさせてもらえたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

 

春の高山祭

高山に春の訪れを告げる「山王祭」は、旧高山城下町南半分の氏神様である日枝神社(山王様)の例祭です。毎年4月14日・15日、祭の舞台となる安川通りの南側・上町には、「山王祭」の屋台組の宝である屋台12台が登場。うち3台がからくり奉納を行うほか、祭行事では賑やかな伝統行事も繰り広げられます。(飛騨高山観光公式サイトより)

今回参加した「御巡幸(ごじゅんこう)」祭行列は、伝統を受け継ぐ祭行事の見どころとして昔ながらの衣装を身にまとう決まりがあり、私は消防士の衣装を着せてもらいました。

伝統的な衣装は各家庭に保管されています。

本来祭行列に参加するのは【氏子地区の男性】とされ各世帯から 1 名ずつ参加します。

しかし高齢化で参列が難しかったり女性だけの世帯などでは担い手を出すことが難しいのが現状です。

伝統を引き継ぐという大事な行事に参加出来ることは大変光栄で、とても緊張するものでした。

参加者の中には初めて参列する人もいて、私だけが初心者ではないことに安心しました。 外国人の私が参加することに最初は皆驚きましたが快く受け入れてくださり、祭りの意味や巡礼の仕方などを親切に教えてくれました。

緊張している私のために「明日は雨予報で、祭行列は中止だから、神様は陣屋で1年を過ごさなければならないかもしれない」と冗談を言って和ませてくれました。

 

御巡幸(ごじゅんこう)

先頭は大榊で、獅子・社名旗・台名旗(屋台の代わりの旗を立てた台車)・闘鶏楽・太々神楽などが続き、一文字笠に裃姿の警固の人たちに守られた神輿が氏子の繁栄を願い、家々を巡行します。

長い祭行列ですが、神様を飽きさせないためにお囃子(はやし)や雅楽(ががく)、獅子舞(ししまい)などがあり、多くの観光客の目を引き楽しませていました。

私の役目は祭行列の中心である神輿を運ぶ役でした。

地元の人々が日枝神社に祭られている山王様が分霊された神輿に、神社を参拝するように二礼二拍手一礼をすることがとても印象的で、改めて重要な役割をしているのだなと感じました。

巡行中は地域の神社に立ち寄り獅子舞や闘鶏楽を奉納します。私はそこで初めて玉串拝礼の儀式を見ました。日本の文化に触れる貴重な機会でした。

日枝神社を出て町を一巡し、高山市内を流れる宮川に架かる観光スポットとしてもメジャーな赤い中橋の袂(高山陣屋前)にある御旅所(おたびしょ)へ到着しました。ここで神様は一泊し、15 日午後、御旅所から家々を巡り、神社へ還御されます。

3時間以上かかった御巡幸でしたが、すべてのことが新鮮であっという間に時間が過ぎていきました。
外国人の私が祭行列にいることに驚く子どもたちの顔が今も忘れられず、多くの幼い子どもたちから指を向けたり驚いたりする顔をされたことは、かなり面白いと思いました。

実は、最初に立ち寄った神社で神輿に足を轢かれるというハプニングがありましたが、幸いにもケガすることなく最後まで参加することが出来ました。

新しい人との出会いと、貴重な文化にたくさん触れることができ、また機会があればぜひ参加したいと思います。

高山祭は、今まで氏子しか役割が出来なかったそうですが、時代の変化に伴って今回の私のように関わりたいと思っている人達を巻き込んでいくことで文化の伝統継承がより良く続いていくのではと感じました。 

 

夜祭り

夕方ごろ、今度は観光客として夜祭りに参加してきました。
昼間は日の光を浴びて輝いていた絢爛豪華な屋台は、100個もの提灯が灯されていて、とても幻想的でした。そしてお囃子や雅楽や獅子舞もあり、遅い時間にも関わらず、たくさんの地元の人たちが高山祭を支えているのだなと思いました。
多くの賑わいを見せた高山祭には、飲食を販売する出店がたくさん並んでいる通りがありました。 高山の人たちはこれを「やし」と呼ぶようです。
様々な種類の食べ物や飲み物、射的や輪投げといったようなゲームもありました。 お祭りの日に合わせて開催されるそうです。
新型コロナウイルス感染症の影響で4年ぶりの開催となった高山祭。この日訪れた観光客は9万8 000人だったそうです。とても混雑していましたが、外国人の私にとっては伝統的な祭りの文化も、 楽しい出店の数々もどちらも新鮮でとても楽しい1日でした。

京都の祇園祭・秩父の夜祭とともに「日本三大美祭」のひとつとして知られている高山祭。 10月9日・10日には秋の高山祭「八幡祭」が開催されるので、今から楽しみにしています!

ルーク
ルーク

アイルランド出身のルークといいます。 ワーキングホリデービザを使い高山市にある訪日外国人向けのゲストハウス【紫旅館】で働いています。 高山来る前は、6ヶ月間東京の東横インでインターンシップをしていました。その後、名古屋外国語大学で1年間勉強し高山に来ました。 趣味はバドミントンとバレーボールとゲームです。漢字を上達させるために漫画を読んだり、日本語の映画(特にホラー)を字幕で見るようにしています。お酒も好きです。

コメント

  1. ぽんぽん より:

    ルークさんと共通点がとても多く、いてもたってもいられなくなりコメントさせていただきます。
    高山市出身で現在は名古屋市で働いています。
    高校卒業と同時に愛知県の大学に通い始めました。
    その大学は…名古屋外国語大学です! 
    一年時にはアイルランドに短期留学もしました!
    こんな繋がり滅多に無いと思います!
    アイルランドでの思い出はたくさんありますが、やはり高山と似た雰囲気を感じたのはルークさんと同じでした。
    今ではアイルランドは私の中で大事な思い出の一つになってます。
    そして、こんなにも遠く離れた国の方が愛する故郷の大事な行事に携わってくれた事を嬉しく思います。
    高山を第二の故郷と思ってくれたら嬉しいです。

    1. ルーク より:

      ぽんぽんさん、
      コメントを書いてくれてありがとうございました。
      僕たちに共通点がたくさんあると聞いてうれしいです!
      NUFSでの留学のすべての瞬間が大好きでした。
      アイルランドで過ごした時のことをぜひ聞きたいです。リムリック大学に行ったんですか?それが僕の大学でした。
      僕もこのような大きなイベントに参加させていただき本当に感謝しています。
      記事も読んでくれてありがとうございました。

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