はじめまして! 大学生ライターのりさです。
今回紹介をする白川村は、毎年世界各地から200万人もの観光客が訪れる世界遺産白川郷がある地域です。
美しい景観をなす合掌造り集落に懐かしさや人々の素朴な暮らしをイメージされる方も多いと思います。
そこで、白川村の魅力を発信されている飛騨日日新聞編集メンバーの津田さんにお話を伺いました。
津田さんは、愛知県出身で、大学卒業後まちづくりプランナー職を経て、現在は、岐阜市と各務原市に本社がある株式会社リトルクリエイティブセンターで飛騨日日新聞(通称:ヒダニチ)の編集を担当されています。
毎週白川村に通って、取材や情報収集、イベントの手伝いなどに伺っている津田さんに飛騨日日新聞や白川村の魅力を聞きました。
飛騨日日新聞は、白川村での暮らしや文化、そこに生活をしている人々の「ありのままの暮らしを発信する」を出発点として取材や情報の発信をされています。
たとえば、白川村では毎年、9月の終わりから10月にかけて、五穀豊穰・家内安全・里の平和を山の神様に祈願する「どぶろく祭」が開催されています。
このイベントは観光客の方も大勢いらっしゃるものですが、飛騨日日新聞では祭り文化そのものだけでなく、祭りの担い手にもフォーカスしています。
観光地として有名すぎるがゆえに、そこでの生活や暮らす人々が見えてこないのでは?という想いから、村のリアルな日常を届ける【郷暮らし手帖】のコーナーでは、豪雪地帯ならではの雪かきや雪囲いの様子など、村の住民にとっては当たり前、だけど村外の人にとっては興味深い暮らしぶりにスポットを当てています。
ほかの地域で暮らしている方からするとそれ自体が珍しいものでもあるので、読んでくださる方にどのような意味があるのかが伝わるように発信しているそうです。
津田さんの視点ならではの生活している人のぬくもりが感じられる温かい記事がたくさんあります。
また、移住や U ターンをしてきた方を取材した際には繋がりを広めてもらえるようにと、地域住民や村役場の方などに情報共有されているそうです。
私は、生まれも育ちも高山市で同じ飛騨地域の飛騨市、下呂市、白川村にとても近しいものを感じていました。
学生生活では飛騨地域内での部活動の大会や学校間での交流があり、それぞれの地域に友人が暮らしていて、飛騨地域=「地元」という意識を持っていました。
今回の津田さんへのインタビューで白川村に温泉街があるなど地元と思っていた飛騨地域に知らないことがたくさんあることに気がつきました。
取材をきっかけに飛騨日日新聞の記事を読んで、 知らなかった白川村の魅力をたくさん知ることが出来ました!
ここからは取材で通っている津田さんが白川村で印象深く感じたことをお聞きしました。
一つ目は、人と人との距離感が近く、顔の見える関係性ができていること。
例えば、ある人の名前をあげれば、村内の人はたいていその人のことを知っていることに驚いたそう。
都市ではあまりない、さまざまな年代の方同士で関わりがあるところも白川村らしい人と人とのつながりだとおっしゃっていました。
二つ目は、飛騨日日新聞を村内で配布に回っている際、「読んでいるよ」「今回の記事もおもしろかった」と言ってくれること。
なかなか自分の書いたものに対してダイレクトに反応がもらえることは少ないそうですが、飛騨日日新聞は村内全戸に配布しているため、村の方に育ててもらっている実感が持てるそうです。
また、取材では、白川村の地域の活性化につながる仕事や活動をしている人に多く出会うそうです。
年齢に関係なく住民の方一人ひとりが村のことを自分事としてよく考えているともおっしゃっていました。
このように住民同士の関係が近く、「白川村が大好き」と住民が思っており、年齢に関係なく住民の方一人ひとりが村のことを自分事としてよく考えているともおっしゃっていました。
私自身、現在は名古屋市で学生生活を送っています。
では、自分が住んでいる「まち」を自分事として考えられるかと聞かれると、答えるのは難しいです。
これは都市部など「まち」の規模が大きく、住民の距離感も遠いと「まち」のことを「自分事」として考えにくくなります。
白川村の規模や関係性だからこそ具体的に考えられるのだと思います。
住民の方が白川村のことを「自分事」ととらえているのが強く反映しているのが、「村民学」といえます。
私は今回津田さんとのインタビューのなかで初めて「村民学」というものを知りました。
白川村では、児童数の減少をうけ2017年に「義務教育学校白川村立白川郷学園」が誕生しました。
村唯一の小中一貫校の義務教育機関です。
白川郷学園では、義務教育を終える15歳までに「ひとりだち(学校教育目標)」の礎を育てることを学校教育の必須課題として、「自立」「共生」「貢献」の3つの資質を育成する教育を推進し、将来の白川村の「担い手」育てへとつなげる方針をとっています。
詳細は白川郷学園 HP 内『白川郷学園の特色ある教育活動』をご覧ください。
https://www.shirakawa-go.org/1083.htm
子どもたちが成長のなかで、知識だけではなく、そこに生活する人々の思いを知ってほしい、伝えたいという願いから、これまでの「ふるさと学習」を発展させ、特別な教科を立ち上げ、地域と学校が同じ願いをもち、連携・協働し、創り上げていくことで、この教科の編成・実施を目指したのが「村民学」になります。
カリキュラム編成・実施は、地域と学校が連携・協働して進めています。
学校と地域のつながりがとても濃く、村内外の大人も参加し、みんなで積極的に意見交換をしながら進めているそうです。
飛騨日日新聞さんも2021年6月から白川郷学園の8年生(中学2年生)に向けて村民学の授業をスタートしています。
この授業では、生徒が情報発信を学び、自身で取材した記事の発信を行いました。
授業の様子はこちら
このような活動は私自身も経験がありませんし、すごく独自性の高い貴重な経験になると思います。
地域について深く知ることや、大人と話し合える機会はとても貴重だと思います!また、自然も豊かなので、子どもたちにとってはとてもいい環境だと思います。
今回、津田さんの記事をいろいろと読ませていただいて、心がとっても温かくなりました。
若者や移住者へ意識的に門戸を広げる活動されている方もいらっしゃるそうです。
津田さんは飛騨日日新聞の取材だけでなく、例えば白川村に認定された白川郷産品を楽しめるイベント「郷フェス」を主宰する郷フェス実行委員会への参加や、JR岐阜駅にある岐阜のアンテナショップTHEGIFTS SHOPで白川村のフェアを行う際にも協力したそうです。
そんな津田さんだからこそ、白川村での深いつながりを記事に書けるのだと思います。
※「やさな~」は飛騨弁で「だよな~」になります。
今回の取材を通して、私自身、移住や移住者向けの特別な制度など何かしら特別なもの・わかりやすいものを期待してお話を聴いていたことに気が付きました。
当たり前のことですが、移住先を選ぶ際に、その場所の人々や暮らしを知る必要性を改めて感じました。
飛騨日日新聞さんの記事は取材したものをできるだけそのまま掲載されているそうです。その中には、当然ポジティブなものだけではないものも含まれています。
“ありのまま”というものは難しいもので、人によってはマイナスに捉えられることもあるのだと津田さんはおっしゃっていました。
例えば、地域の方とのかかわり方です。弱くなったといわれていますが、地域共同体「結」と呼ばれるつながりもあります。
都市部に比べると隣人や地域の方との距離感は近くなるので、そのような関係性が苦手という方もいらっしゃると思います。
地理的なことでいいますと、コンビニがひとつだったり、どこにいくにも車が必要だったりと不便なうえに豪雪地帯ということもあります。
移住を検討するうえで、その地域や場所をあらかじめ知るということは非常に大切だと思います。
飛騨日日新聞さんは背伸びしたり、脚色してよく見せようとするのではなく、あくまでありのままの白川村を発信されているということで、移住のヒントになるもの、生活の価値観について考えるうえで非常に参考になると思います。
今は探せばいろいろな情報が手に入る時代なので、実際に記事の先にある現地を体感して、地域の魅力をたくさん発見していきましょう。
最後まで読んでくれてありがとうございました!
それでは、あばな!
(こちらも飛騨方言です。意味はさようなら)