この連載は、東京に住むコロカル編集部が、飛騨地域に暮らす「未来の地域編集部」のみなさんにテーマを投げ、それぞれの視点を通して見える飛騨ならではの風景を紹介していきます。
第1回のテーマは、「秋のヒトコマ」。
“秋といえば○○”という言葉がいくつも出てくる季節です。飛騨地域では一体どんな風景が見えるのでしょうか?
東京から高山市に移住してゲストハウスを営む、横関さんからの1枚。毎日開催される高山名物の朝市では、飛騨の伝統野菜や手作りの民芸品などさまざまなものが売られています。なかでも旬のものが並びだすと季節の変わり目を感じるそうです。りんごの種類もたくさんあって、食べ比べも楽しめますね。
「高山といえば朝市。なんと365日開催しています。新鮮な旬の野菜や果物、赤カブの漬物やつきたてお餅など飛騨の味が楽しめます。この朝市にりんごが出てくると秋の到来を感じます。これからしばらく色々な種類のりんごを楽しめますよ。1個から贈り物用まであるので、近くの宮川沿いで朝りんご、おすすめです」 |
高山生まれのイラストレーター大森さんから届いたのは、この大きなイチョウの木。国指定の天然記念物で、樹齢は推定1250年以上、高さは28メートル以上あります。写真でもこの迫力ですが、実物を見るともっともっと大きく感じます。
「飛騨国分寺大銀杏、黄葉真っ盛りの一枚。この葉がすべて落ちると雪が降るといわれています。一気に落ちると大雪、少しずつ落ちると暖冬など、落葉の仕方で雪の量を占うため、毎年散り際が注目されています」 |
白川村の地域おこし協力隊である風子さんからは、こんな変わった1枚が。これ全部、“なめこ”!写真下のなめこから上の形に生長していき、小さいものはプチプチした食感、大きいものはぬるっとして食べ応えがあります。この時期はなめこだけでなく、舞茸も採れるそうです。
「祭りや紅葉、冬支度。飛騨の秋は盛りだくさん。年中食欲の秋を過ごしている自称食べ物担当の私にとって、秋の味覚『天然きのこ』は欠かせません。味も香りも大きさも、天然ものは格が違う。ここにいるからこそ出会える一品。飛騨の山は、とても美味しい」 |
リラックスする人たちの後ろに広がるのは、幻想的な雲海の景色。未来の地域編集部で編集長を務める白石さんからの1枚です。雲海と聞くと、ペルーのマチュ・ピチュのような特別な場所でしか見ることができないと思っていましたが、飛騨の山でも眺めることができるとか。いい景色で気持ちよく過ごせそう!
「朝9時、近くの山に登って見た雲海。 住んでいる人しか知らない秘密の場所が、飛騨にはたくさんある」 |
田口さんからの1枚は美しい稲穂の写真。「飛騨牛で有名なこの地域、実はお米が絶品なんです!」と地元ガイドの方が熱く語ってことを思い出しました。日本酒も美味しい地域だからこそ、この景色を見ただけで旨みを感じるんですね。
「飛騨の秋といえばコレ!田植えが済んだ水鏡から、瑞穂を経て黄金に輝く集大成は自分のなかの日本人が喜ぶのデス!この景色が、すでに旨いッ♪」 |
ぱっと見ると稲刈りのような風景。でもよく見ると、刈っているのは人より背の高い茅(かや)なんです。合掌造りが残る白川村で地域おこし協力隊をしている柴原さんからは、茅タワーの写真が届きました。目の前に広がる色とりどりの紅葉も鮮やかです。
「刈り取った茅の束『茅タワー』。茅葺き屋根の合掌造りに欠かせない茅は紅葉の中で収穫します」 |
毎日見る朝の風景や季節ならではの景色など、そこに暮らす人が感じる「秋のヒトコマ」。自分が思い描く秋と似ていたり、思いがけない風景だったりと、さまざまな秋を楽しめました。お酒好きの私には、稲穂の写真がグッときました(笑)。