はじめまして、高山市出身の大学生、ひがしのです。
県外の大学に通っているのですが、4年生ということもあり授業は週一回、しかもコロナ禍でオンライン。
せっかくなので大学生活最後の1年間、高山市の実家で暮らしました。
大学4年生といえば就職活動。2020年春、1回目の緊急事態宣言が出されたころ、私は絶賛、就職活動中でした。
説明会も面接もすべてオンラインだったので、部屋にいながら、東京や大阪、福岡など、日本のそこらじゅうの会社の面接を受けることができました。
結局、県内のとある会社に就職することに決まりましたが、就活を終えてふと思いました。
「地元なのに高山の会社は受けてない…。」
私は高山が好きですし、「将来、絶対〇〇県に住みたい!」という願望も特にありません。それなのになんで高山の会社を見ていなかったんだろう。
ただ、「高山で働く」というイメージが、まったくできませんでした。
ちょうどそのころ、「高山市の産業振興」について卒業論文を書くため、高山市の認定NPO法人「まちづくりスポット」にてインターンシップ活動をしていました。
そこではじめて、市内の会社や事業者の方々にお話を聞いたり職場を見たりすることができました。
この機会に、高山市のことや市内の会社について調べてく中で、私が感じたことや気づいたことをお伝えします。
私がインターンシップした団体はコチラ
http://machispo.org/activity/nposupport/internship/
高山市の人口減少や少子高齢化が深刻なことは、高山市に住んでいれば、肌で感じている方も多いのではないかと思います。
では、どれくらい深刻なのか?
高山市の人口は、2005年に約97,000人だったのが、2020年には約87,000人になりました。
15年間で、人口が約1万人も減っているんです!!
しかも、高齢化率は32.7%と、全国の高齢化率の28.7%を大きく超えています。(2020年)
高山の100人中32人が65歳以上の方なんです!!
つまり、このままではこれからも高山の人口は減っていくばかり、ということです。
高山の地域や産業を支える人が少なくなっている、ということです。
だからこそ、都市の人が地方に移動する「地方移住」が地方の人口減少を抑制するカギであり、最近いたるところで注目されているんですね。
「移住」とは、
Uターン(地方出身者がよそへ出た後に再び出身地へ戻ること)
Jターン(地方出身者がよそへ出た後、出身地近くの市街地へ移動すること)
Iターン(主に都会出身者が自らと全く関係のない土地へ移動すること)
の3種類に分かれます。
「東京から高山への移住」という例で表すと、こんな感じでしょうか。
「地方移住」というと、私は「都会に疲れた人たちが癒しを求めて田舎暮らしをすること」というイメージを持っていましたが、
飛騨地域出身で、一度よそへ出て勉強・就職していた人たちが戻ってくることも移住になるんですね。
★自分の生まれ育った土地に戻ってくるUターン移住は、まったく知らない土地への移住よりも現実的で、希望する人も多いのではないか?
★自分が高山へUターンし働くイメージをつかみたい。
という思いから、移住の中でも、高山への「Uターン移住」に焦点を当てて調べてみました。
では、高山出身でUターン移住する人はどれくらいいるのでしょうか?
高山市役所の商工課とブランド戦略課の方にお話を聞きに伺いました!
高山市には色々な種類のUターン移住支援制度があるみたいです。
2015年から2019年の5年間で、約847人の若者(18歳-34歳)が、高山市のUターン就職支援制度を利用し、移住したそうです。
最新の高山市の移住支援制度情報はこちらへお問い合わせください
https://www.city.takayama.lg.jp/shisei/1003917/index.html
Uターン制度を利用し移住した方々の就職先を見てみると…
「医療・福祉」関係に就職する方がずば抜けて多いことが分かります!
次いで「卸売・小売業」、「製造業」に就職された方も多いですが、
高山市全体の従業者数(——)の業種別の割合と比較すると、
Uターンし「金融業・保険業」に就職される方の割合は、高山市全体で「金融業・保険業」に従事される方の割合に比べ大きいということも特徴です。
これはあくまでも制度を利用した方の数で、実際のUターン移住者はもっといると思いますが、この数だけ見ると、
よそで医療・福祉・金融や保険等の専門的な勉強・就職をして、高山に戻ってきて活躍されている方が多いということが分かります。
地方から若者が流出することは一見、残念なことのように思えます。
しかし、Uターン就職をして、専門的な知識で高山を支えている方がたくさんおられるということを考えると、若者の都市への流出は悪いことばかりではないのかもしれませんね。
そもそも高山は、
4年生大学などの教育機関がないことや、
都市部から離れていることもあり、
若者が流出してしまうのは、仕方ないことだと言えます。
では、高山出身の若者のUターン移住を増やすには、どうすればいいのでしょうか。
高山市が2018年、高山市在住の高校生を対象に行った「将来の進路や仕事に関する意識・希望アンケート調査」のなかで、高校卒業後または進学先を卒業後、飛騨地域以外で就職を希望すると回答した人(442人)にその理由を聞いたところ、
約30%の高校生が、「飛騨地域に働きたい職場がない」と答え、これが最も多い回答だったそうです。
「飛騨地域に働きたい職場がない」というのはもしかすると、
私と同じように、「飛騨地域の会社を知らない」「飛騨地域で働くイメージができない」
という理由からなのではないかと考えました。
では、どうすれば高山で働くイメージをつかむことができるのでしょうか。
私は今回まちづくりスポットのインターンを通じ、市内の会社を訪問したり、働く方々のお話を伺ったりする中で、高山の活気・魅力あふれる会社をたくさん見つけることができました。
また、「高山で働くイメージ」を少しつかむことができました。
こんな風に、高山での働き方についてよく調べる機会があれば、多くの人が
高山で働くイメージができるようになり、将来高山に帰ってきたい!と思うのではないでしょうか?
高山市と同じく、若者の流出が問題となっている隣県の福井県大野市では、
「大野へかえろうプロジェクト」が行われているそうです。
http://www.return-to-ono.jp/index.html
(大野市へかえろうHP)
高校生が地元企業を調査してポスターを制作したり、大野市で働く大人たちをホームページで紹介したり、若者に大野市での暮らしを提案する様々な取り組みが行われています。
若者が出ていくのを止めるのではなく、
若いうちから地元企業を知る機会を与え、
地元を離れてしまった人たちには地元の魅力を発信し続ける
という点で、とても素敵なプロジェクトだと感じました。
私も中学生のときにケーキ屋さんで職場体験させていただきましたが、やっぱり仕事を知ることは楽しかったし、今でも職場の様子をよく覚えているので、こんな風に職場を知る機会がもっとあるといいな、と思いました。(おかげで今でもケーキ大好きです☆)
また高山にも、市内の会社のインターンシップや、高山暮らしの魅力を伝えるサイトがたくさんあります。
私は来年度から高山を離れますが、こうした情報を取り入れながら高山に帰ってくることも選択肢の1つにして、これからのライフプランを考えていきたいと思います!
参考文献
「人口・世帯数」高山市、2020年10月1日更新(最終閲覧日:2020年10月1日)
https://www.city.takayama.lg.jp/shisei/1000062/1002187/1002189.html
「地域別高齢者等の状況、要介護・要支援認定の状況」高山市、2020年5月26日更新(最終閲覧日:2020年10月1日)
https://www.city.takayama.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/000/564/koureishasu_koureikaritu_r2.4.pdf
「2015年-2019年産業大分類別Uターン就職支援金申請者数累計(18歳-34歳)と2016年高山市における産業大分類別従業者数」商工観光部 商工課より
竹内治彦、見舘好隆、河合晋「担い手育成における仕組み作り 調査研究報告書(最終)」一般財団法人飛騨高山大学連携センター、2020年3月
高山市「将来の進路や仕事に関する意識・希望アンケート調査報告書」
https://www.city.takayama.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/803/h30_anketo_tyousakekka.pdf