特集 Feature

移住者を知るみなさんに聞きました

コロカルの飛騨特集に登場している、魅力ある飛騨地域への移住者の方々。
彼らは周りから見てどんな人なのか、移住してから地域にどんな変化があったのか。
同じく飛騨にお住まいの、彼らのことをよく知る方々にお話を伺いました。

Vol.06 市の就農パンフレットにもデザインを、飛騨市が仕掛ける明るい就農支援

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燃える思いを持った仕事の発注者 : 中村篤志さん

農家の世代交代が必要だ。自治体の取り組みとしても、新規就農フェアに出展し、農業の魅力を伝えようと工夫を凝らしているところも少なくない。どうしても固い内容になりがちな自治体パンフレットだが、飛騨市の新規就農者向けのパンフレットは、パッと見て楽しそうなデザインで手に取りやすく、見ていてワクワクする内容だ。このパンフレットを制作した千原さんと共に、デザインの力で就農者にメッセージを届けようとしている飛騨市農林部の中村篤志さんに話を聞いた。

農林部のアツイ男、中村さんの思い

「僕はいま農林部にいるのですが、就農について日々学ぶうちに、飛騨地域には若く素晴らしい農家が育ってきていることが分かってきました。トマトを筆頭に作目も多く、楽しそうに農業をしている方が多かったんです。でも、当時そういった情報はどこにも出ていなかった。農業は厳しい世界と言われることが多いですが、楽しんで農家をしている彼らの顔が見える、あたらしい取り組みをしたいと思っていました」

中村さんは2015年に農林部に配属となり、新規就農支援を担当している。就農フェアに出展して飛騨市の農業事情を伝え、新規就農者を増やしていくことは重要な仕事だ。外に直接情報を発信していく際、多くの方が手に取っていくのはパンフレットだが、当時は農業の楽しさを伝えるものがなかったという。

「農業は辛い、大変、でも補助はこれだけある!という資料はよく見るんですが、僕が伝えたいのはそういった部分ではなくて、目標に向かって、時には辛い中にも楽しさを見つけ、どうやって暮らしているのかというところ。それをつくりたくて、あるデザイナーさんに相談してたんです。そしたら、kongcongという会社が立ち上がるという話を聞いて・・」

千原さんが13年ぶりに故郷である飛騨古川にUターンし、創業したのがkongcongだ。これまで地域になかった、デザインにおけるクリエイティブディレクションを事業のひとつとして行っている。中村さんは千原さんに相談を持ち掛け、そこから飛騨市の新規就農用パンフレット制作がスタートした。

「就農には、地盤(土地)と鞄(お金)と看板(どこの誰だとわかる)が有効だと思っています。そういった意味では、Uターンする人にとっては比較的入りやすい業界なのかもしれません。就農フェアに出展すると、200くらいの自治体が来るのですが、これまでのパンフレットだと埋もれてしまうことが多かった。でも、千原君と一緒に新しいものをつくってからは、手に取って持って帰ってもらえることも増えましたね。明るい就農イメージが伝わっているのかなと思います」

あたらしいムーブメントをつくるため、外の視点を取り入れる

「千原君もそうですが、外から来た人に対しては、まずひとつ何か成功してもらいたい、という思いがありますね。それは早く地域に溶け込むための実績と自信につなげてほしいから。地元視点だけだと、何が本当に良いものか見えづらくなっている。だから、外から入ってくる人たちの新しい視点に期待しています。僕のように、地域の素晴らしいものをどのようにして見つけ、どう発信していけばいいのか悩んでしまう人もいます。千原君にはそういった意味で、大きく助けてもらいました」

コンセプトを明確にしてデザインを入れたことで、もともと狙っていた新規就農者以外にも反響があった。ご年配の農家さんが嬉しそうに冊子を手にしてくれたり、JAでも同じデザインでポスターと研修パンフレットを作成してくれたりと、予想外の効果もあったという。

「今後は農業だけでなくて、まち自体を元気にしていきたい。まちの規模が大きくないこともあり、あらゆることが繋がっているので、これからは小さな経済の循環がまちに増えていくといいなと思っています。ただ、僕たちでは最初の渦を巻き起こすところが分からないので、千原くんをはじめ移住者の方たちと協力していきたいですね」

行政としては中立で公平な立場でありたい、と前置きしつつも、飛騨市民として住民サイドに立った行動を起こすこともあるという。人と人のつながりが大切な地域だからこそ、地元と移住者の視点をうまく融合させるところに、中村さんなりのチャレンジがある。あたらしく制作した就農パンフレットはその第一歩。これからも型にはまったやり方にとらわれず、市民のための市役所職員であり続けたいという言葉が印象的だった。

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